「奉使日録」について ―ご子孫の村山彰一氏から
早稲田・済松寺に有った数多くの古い墓石の全てに、彼岸毎に花を供えるのが子供心に楽しく、誇らしくも感じていました。半世紀以上前の話です。 祖父から村山の家は代々医者であり、そのなかの誰かが幕末にアメリカの行ったと聞いた記憶がありましたが、それが意味する事を考えることもありませんでした。
済松寺のご住職から父に<村山の家について調べている方がいる>と連絡が有ったのは2年程前のことです。これが友澤さんとの出会でした。その後同氏から村山伯元にまつわる史実をご教授いただき、また「万延元年遣米使節子孫の会」にもご案内いただきました。
伯元が記した『奉使日録』原本が激動の時代を経て今日に伝わったのは奇跡と言えると思います。また友澤さんの現代語訳でその内容が私共にも理解できる様になったのは、大きな喜びです。
原本の保管に多大なご尽力頂いた鈴木紘一医博が、今回製本の労とって下さいました。村山の名に連なる者として深く感謝申し上げます。 祖父から4代続けて医学を志すことはありませんでしたが、2歳になった孫といつの日か『奉使日録』を一緒に読み、<お家再興>を働きかけてみようと思っています。